10年前では日本では過小評価され、ネット上でも「平凡なピアニスト」と叩かれていた。 ゲッツとのデュオ作品People Timeで初めて彼の演奏を聴いたのだが、 彼の持つ繊細なメロディとブラック特有(?)のリラックスしたタッチに惚れ込み、 彼のリーダー作を探して買うのが楽しみでしょうがなかった。今思えば、平凡なピアニストにこんなイントロやバッキング、ソロ、エンディングが弾けるはずがないのだけど。
今作は、今や言わずと知れた(?)ケニー・バロンが、80年代前半に日本で弾き込んだ1枚。 BAYBRIDGE RECORDESという発売元(簡単に言えば、権利を持っている)のことは良く分からず、 販売元はテイチク・レコード(今は演歌メイン)と、今後再発されるか分からないが、眠らせてしまうには惜しい内容。
特に1曲目と4曲目では、当時のニュー・エイジとされるプレイヤーに負けず劣らずニュー・エイジサウンドを出しているように思える。この中では異色の演奏なのが2曲目、今の彼では中々聴けるものではない、少し実験的な内容。アップテンポでアウトサイドなフレーズを弾き倒している。彼のタイムの良さが発揮される3曲目、モンク調に根ざす彼のストライドには一流のこだわりがあります。
フュージョンプレイヤーのMitchel FormanがBill Evansに捧げた1枚で、2曲(6,8)を除いてエバンスが好んで演奏した曲となっている。バックの二人はかつてエバンストリオで演奏しており、広く活躍しているプレイヤー。
ソロの展開の仕方が非常に上手く、またバックもそれを感じ取るのが早い。その逆も然りと会話が途切れず、互いに仕掛けあいながら相乗的に演奏されている。ハイライトは6.Perc Jazzというオリジナルだろう。そこに譜面があるかのごとく展開されていく演奏には圧巻で、弾きすぎず抑えすぎずバランスが取れており、プレイヤーが聴いても参考になるはず。
このプレイヤーを知るきっかけになったのは、Stan Getz(ts)の"Billiy Highstreet Samba"(Emarcy, 1990 [Rec:1981])というアルバムである(ゲッツ以外は当時フュージョンシーンで活躍していたプレイヤーばかり)。ちょっと調べた時にこのCDのことを知り、曲目とメンツからして悪かろうはずがない、と探し回った覚えが。